子供たちも大喜び! 保育士のパネルシアターのアイディア!
パネル布を貼ったボードに、絵や文字などのパーツをつけ外しして、お話や歌の世界を展開するパネルシアター。
パネル布(ネル生地)とPペーパーがあれば簡単に手作りでき、工夫しだいでいろいろな表現が可能なため、ここ数年、紙人形劇のペープサートと並び、保育の現場で採り入れられることが増えてきています。
また、観るだけでなく、参加して楽しめるパネルシアターは、子どもの集中力や観察力を伸ばす教育法としても注目の的。
そこで今回は、パネルシアターの特徴や魅力、簡単な作り方、効果的な演じ方について、お届けしましょう。
ぜひ皆さんも子どもたちと一緒に、パネルの上に広がる世界を楽しんでみてくださいね!
パネルシアターって?
パネルシアターは、1973年、住職の古宇田亮順氏により考案されました。
ネル生地のような毛羽立ちのある布を貼ったボードを舞台に、パネルシアター用のPペーパーに描いた絵人形を貼ったりはずしたり、動かしたりして演じる表現法です。
お話や歌、クイズなど、題材はなんでもOK。
鮮やかに変わっていくパネルの中の光景に、子どもたちは瞬く間に引き込まれていきます。
そんなパネルシアターならではの特徴と魅力をまとめると、
●簡単に手作りできる
●技術は不要。だれにでもできる
●貼ったり外したりして、場面に動きを出せる
●表裏が使えるので、裏返すことで瞬時に表情が変えられる
●仕掛けを使うことで、驚きやわくわく感が生まれる
●演じる人が隠れていないので、親近感や一体感がある
●子どもたちに問いかけたり答えたりと、やりとりを楽しめる
●観る側の「参加したい」という意欲をかきたて、積極性を伸ばす
●場面が刻々と変わるので、観察力、集中力が身につく
ではここで、パネルシアター作品の実演をいくつか見てみましょう。
「のびのびのびーん」
ぞうさんのお鼻、キリンさんの首、へびさんの体・・・あれ、何か短いな?
でも大丈夫、みんなでせーの、「のびーん!」で、ちゃんと長くなっちゃいます。
魔法のように伸びる仕掛けが、子どもたちのわくわく感を盛り上げる楽しい作品。
「なんでもなる木」
なんでもなる不思議な木。みっちゃんが「お菓子が食べたいな」と思えば、あららら?
あっという間に枝にはお菓子がいっぱい。「素敵なドレスがほしいな」「空が飛びたいな」・・・
みっちゃんのお願いをかなえたあと、木には桜が満開、みっちゃんは一年生に。
子どもたちの夢をかなえるストーリーに、思わず引き込まれてしまう素敵なお話。
「ぱぱんのパンの木」
みんなで「ぱぱんのパン!」と手をたたくと、パンの木から食べたいパンが落ちてきます。
全部食べちゃったあとは、「ぱぱんのパン!」でまたたくさんのパンが。今度はみんなでむしゃむしゃ。子どもたちが夢中になってお話に入り込んでいるのがよくわかりますね。
「コロコロリン」
丸いボールがいろんなものに変身します。「何に変身するでしょうか?」と問いかけて、子どもたちの興味をひきつけ、次の瞬間、りんごや雪だるまに変身! パネルシアターならではの鮮やかな変化が面白く、最後まで飽きずに楽しめるパネル遊びです。
いかがでしたか。
「まだやったことがないけれど、ぜひトライしてみたい!」
そんなふうに感じた方も多いのでは?
ではさっそく、パネルシアターの実際の作り方をみていきましょう。
3ステップで完成! パネルシアターの作り方
<ステップ1> 材料を用意します。
● コットンフランネル生地
パネルシアター用ネル布(※)は書店などで手に入ります。また、パジャマなどに使われる生地なので、手芸店でも扱っています。
● Pペーパー
パネルシアター用の不織布。書店かネット通販で手に入ります。
● 段ボールやベニヤ板、発泡スチロールなど
パネルの大きさのもの(100cm×60cmくらい)
● 絵具
人形の色を塗ります。アクリル絵の具だと発色がきれい。
● 黒の油性ペン
人形の縁取りをします。
<ステップ2> パネルを作ります。
パネルをフランネル生地でくるみ、裏をガムテープなどで止めます。
<ステップ3> 絵人形を作ります。
1) Pペーパーに好きな絵を描くか、描きたい絵の上に重ねて鉛筆でなぞります。
2) 絵具で色を塗ります。
3) 最後に、油性ペンで太めの縁取りをし、切り抜きます。
(※)ネル生地は白が基本ですが、黒もあると夜など暗い場面に使えます。
また、黒いパネルは、絵人形に蛍光カラーを塗り、ブラックライトを使った幻想的な演出もできます。
基本のパネルシアターは、これで完成!!
でもちょっと待って。
実は、パネルシアターには、効果的な演出のための「仕掛け」がいろいろあるのです。
目的に合わせて、以下のような仕掛けもそなえておくと、さらに楽しめますよ。
手品みたい? 子どもたちが喜ぶ仕掛け
●表裏貼り合わせ●
裏返すだけで表情を変えたり、場面を転換することができます。
⇒ 2枚のPペーパーに表と裏の絵を描き、ボンドで貼り合わせます。
●糸止め●
手足、首、しっぽなど、別々に描いたものを糸でとめ、動かして演じます。
⇒ 動かしたい部分を別に作り、本体に糸で玉止めします。
●裏打ち●
絵の後ろから絵を出したり、絵の上に別の絵を貼ったりするときに使います。
Pペーパー同士はくっつかないので、裏打ちが必要になります。
⇒ 重ねたい絵の裏に、ネル布を貼って裏打ちします。これで、絵と絵がくっつくようになります。
●切り込みポケット●
絵に切り込みを入れ、そこに別の絵を入れます。鍋や服のポケットなどに、中身を入れておくことができます。
⇒ 別の絵を入れたい部分に切り込みを入れ、裏にネル布をポケットの袋のように貼ります。
●引っ張り●
いくつかの絵を糸でつないで引っ張り出し、動きをだします。木の中から鳥がたくさん現れたり、ピアノの中から音符がつながって出てきたりと、楽しい演出ができます。
さて、それではいよいよ、パネルシアターの効果的な演じ方をお伝えしましょう。
演じる際のコツやポイントなど、頭に入れておくと本番の盛り上がりも違いますよ!!
初めてでも大丈夫! 演じ方のポイント
① 会場の準備 ~ あらかじめここをチェック
・絵人形が落ちにくいよう、パネルには十分な傾斜をつけます。
・パネルは子どもたちの目線を意識して、見やすい高さに調整します。
・風で人形が落ちることがあるため、部屋に入る風や空調に気をつけます。
② リハーサル ~ ポイントを抑えた練習で演技を磨いて
・立ち位置は利き手側に。右利きの人はステージ右側に立つと、利き手が使いやすくなります。
・絵人形を貼るとき、子どもたちに背中を向けたままにせず、合間に客席を見て声かけをするようにしましょう。
・場面ごとに、正面からどう見えるかを、練習時によく確認しておきます。
・絵人形は演じる順番に重ねておき、はずした絵人形の置き場所も決めておきます。
・人形劇と違い、演じ手は黒子ではありません。貼ったりはずしたりも、パネルの前で堂々と。
③ 実演 ~ これで成功間違いなし!
・いきなり演技に入るのではなく、はじまりの言葉を伝えましょう。
脚本にはなくても、「今日はとってもいいお天気、どんなことが起こるのかなあ」などと、お話への期待感を盛り上げるような言葉かけをすると、子どもたちがスムーズにパネルシアターの世界に引き込まれます。
・子どもたちの反応を無視せず、合いの手を入れたり、問いかけたりして、やりとりを楽しみましょう。たとえ脚本とずれていても、子どもの自由な発想を大切に。
・本番でセリフや歌詞が出てこないときは、とにかくあわてないこと。「あれー、何をしようとしてたんだっけ」「ちょっと聞いてくるね!」などと、アドリブで切り抜け、ステージ裏で脚本をチェックしましょう。演じ手が堂々としていれば、観ている方もそれほど気にならないものです。
・絵人形がうまく貼りつかなかったり、貼ってあったものが落下しても、焦らなくて大丈夫。「ほらほらうさぎさん、おとなしくしていないから落ちちゃったよ」と、拾って貼りなおせばOKです。
・演じる際は笑顔が基本。せりふは大きな声で、ゆっくりと。泣いたり笑ったり怒ったりといった感情も、わかりやすく表現しましょう。体を使ったオーバーアクションもおすすめ。演じ手もシアターの一員なのです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
パネルシアターの魅力は、誰にでも簡単に楽しめる手軽さと、工夫次第で自由自在に世界を広げることができる奥の深さ。
そして何よりも、演じ手と子どもたちがパネル上に繰り広げられるシーンをともに作っていく一体感は、パネルシアターならではの醍醐味ではないでしょうか。
お話、歌、クイズ、どんなテーマにも、生き生きとした命を吹き込むパネルシアター。
皆さんもぜひ子どもたちと一緒に、パネルの中で思う存分遊びまわってみませんか?