子どもたちも保護者も大満足♪保育園のお遊戯会を成功させるポイント!


秋も深まり、本格的な冬が来るまでのこの時期は、遠足やお芋ほりなど、色々な行事が目白押し。そんな中、年末のお遊戯会に向けた練習もスタートし、保育士さんたちは準備や指導にてんてこ舞いなのではないでしょうか。

お遊戯会と名はついていても、最近はお遊戯だけを観せる会は少なくなり、劇あそびやミュージカル、オペレッタといった見応えのあるプログラムが目立ってきているようです。
子どもたちはもちろん、保護者だって気合が入ってしまうこのビッグイベント。
そこで今回は、中でもお遊戯会に欠かせないプログラム「劇あそび」をとりあげ、題材の選び方や楽しく練習するためのポイントについてまとめてみたいと思います。

さらに保護者から起こりがちな配役へのクレームや、当日の撮影にまつわるトラブルを避ける工夫も。ぜひ参考にしてみてくださいね!

劇あそび――題材選びから配役まで

お遊戯会02

演じて楽しく、観て楽しい劇あそび。
とはいえ題材を決め、台本を作り、配役、音楽、衣装、大道具、小道具と、保育士のやることは多岐にわたります。

「何から手をつけていいかわからないっ!」
そんな悲鳴を上げている保育士さんも少なくないはず。
まずは劇あそびの題材選びから配役までの、大まかな流れを追ってみましょう。

(1)題材選び~題材を決めるときの3つのポイント

保育雑誌や保育士向けのサイトも参考になりますが、題材選びに一番大切なのはやはり、演じ手の子どもたちの様子。
クラスでいまどんな遊びが流行っているか、人気のある絵本やキャラクターは何か、ふだんから観察してみましょう。
子どもたちが興味と遊び心を持って取り組むことが、成功するための第1のポイントです。

第2のポイントは、ストーリーがわかりやすいこと。設定や登場人物もシンプルで、起承転結がはっきりしているようなお話がおすすめです。
感動的な場面があるからと、ストーリーの明確でない題材を選んだり、話題のディズニー作品だからと人間関係の複雑なものを選んだりすると、観ている側に伝わるよう演じることが難しくなります。
観客がいてこその劇、演じる側の自己満足で終わらないようにしたいものです。

そして3つめのポイントは、「みんなが知っているお話」ということ。
劇の題材というと、新しい、まだ誰も知らないもののほうがいいと思いがちですが、意外と有名な昔話などのウケがいいのをご存知でしたか。
お遊戯会に「知らないストーリーを楽しみにいく」保護者はほとんどいないでしょう。やはり一番関心があるのは、子どもの演技のはず。どんな役どころで、次の展開はどうなるか、よく知っているほうが、観ているほうも楽だし、演技に集中しやすいのです。

(2)お話の中の役やシーンで、子どもたちと遊んでみる

題材が絞られたら、その絵本などを保育時間に繰り返し読み聞かせて、子どもたちにイメージをつかませるようにします。また、お話の中のやりとりを子どもたちとしてみたり、「おおかみと子ヤギごっこ」など、登場人物で遊んでみるのもおすすめ。
子どもたちの反応を見て、おおまかな登場人物やセリフ、ストーリーを決めていきましょう。

(3)配役を決めるときは、全員が一通りやってみてから

(2)で、全員がそれぞれの役で遊んでみると、役に対するイメージがつきやすく、役決めのときにスムーズにいくことが多いもの。また、「ネズミはいや」というなら同じ役をウサギに変えてみるなど、ちょっとした工夫で子どものモチベーションがアップすることも。
配役が決まってもはじめのうちは固定せず、交替したり増やしたりと、自由に楽しんでみましょう。

たまに見られますが、みんなが主役をやりたがるからと、主役を大勢にするのは考えものです。大勢が同時に同じ演技をすると、一人だけ失敗するなどして逆に目立ってしまうことがありがちなのです。
どうしても主役を複数でやるのなら、場面ごとに役者を替えるのも一つの手ですが、できるだけ、どの役も大切だということを話して、主役にこだわらないようにもっていきましょう。

楽しく練習するために気を付けたいことって?

おおまかなストーリーとセリフを考え、配役も決まったらいよいよ練習。
とはいえ、舞台を意識した練習は、子どもたちの反応もさまざまです。
はりきって前に出ていく子、照れ隠しにふざける子、緊張して固まってしまう子・・・
そんな中で、一人ひとりの個性や良さを引き出し、劇の形にしていくのは大変ですが、上手下手ではなく、子どものやる気や楽しむ気持ちを大切に、発表会につなげていきたいですね。
では実際に練習するときに気を付けたいポイントやコツをあげてみましょう。

●ストーリーやセリフは自由自在にアレンジして

練習は脚本に沿って行うものの、ストーリーやセリフは絶対ではありません。
実際に演じてみて、変えたほうがやりやすい、子どもたちが感情移入しやすいところがあれば、原作にこだわらず自由にアレンジしましょう。
悪役でも、子どもたちみんなが「最後にやっつけられるのはかわいそう」という気持ちなら、ラストは仲直りするとか、見せ場のシーンには人気キャラクターの決め台詞を使ってみるなど、楽しんでみんなで作り上げた劇は、子どもたちの意気込みも違ってきます。

●配役も固定せず、臨機応変に

はじめのうちは、配役も流動的に。子どもたちがいろいろな役を体験して、楽しみながらお話をより深く理解できるようにします。登場人物も、演出効果を考えて増やしたり、二人一組にしたりと、臨機応変に変更を加えてみましょう。
子どもたちの様子を見たり、意見を聞きながら、少しずつ固めていくようにすると、練習に飽きることなく本番へとつなげられます。

●「練習」という意識が強くなると続かない

本番通りの練習を繰り返しやりすぎると、飽きてしまったり劇自体への興味を失うことになりかねません。できるだけ遊びの感覚で、みんなで役やお話を楽しむ雰囲気を大事にしましょう。
本番で使うものとは別に簡単な小道具などを作り、練習のときに使ってみるのも、劇あそび気分を盛り上げるコツ。

●保育者が余裕を持つことが大切

題材選びや台本作りの段階から、とにかく無理をしないことが大切。保育者がつい頑張りすぎてレベルを上げてしまうと、余裕を失って必死に指導することになり、子どもたちは劇あそびが苦痛になってしまいます。セリフを間違えても演技が拙くても、何より子どもたちの意欲を認めてあげましょう。お遊戯会の目的は「完璧な舞台」ではないのです。

●保護者にも関心を持ってもらう

お遊戯会で自分の子どもがどんな役をするのか、保護者も興味津々のはず。ストーリーや役どころ、頑張っている様子などを知らせて、家庭でも関心を高めてもらいましょう。セリフのあるシーンを伝えて、お家でお子さんとやりとりを楽しんでもらうのもいいですね。

配役への不満、撮影マナー違反・・お遊戯会につきもののトラブルには?

頑張って準備してきたお遊戯会、アクシデントもトラブルもなく無事に幕を下ろしたいもの。
けれどよく耳にするのが、お遊戯会ならではの保護者からのクレームです。
とくに「主役じゃなかった」「出番が少なかった」などの配役への不満、そして当日のビデオや写真撮影をめぐるトラブルが目立ちます。
ありがちな保護者との揉め事、どう対処すればよいか考えてみました。

「うちの子は主役をやりたがっていたのに」と言われたら・・・

まず大切なのは、子ども自身の気持ちです。
劇の練習に先立って、それぞれの役で十分遊ぶことで、どの役も大切なお話の一部なんだ、ということを子どもたちにしっかり理解させておくことが重要になります。
そのうえで、「お子さんはこの役にもとても意欲をもって取り組んでいます、本人のやる気を見てあげてください」とお願いしてみましょう。

「出番が少ない、セリフが少ない」とのクレームには・・・

台本を作る段階で、できるだけセリフは均等にしておきます。
けれど、役の性格上、どうしてもセリフの多い少ないが避けられないことも。
そんなときは、セリフの少ない子どもたちだけで、初めの挨拶をするのも手です。
幕が上がる前に舞台に出て「〇〇組の劇あそび、☓☓をはじめます。楽しんでください」
などと口上を述べるだけで、親はとても嬉しいもの。
こんなふうに前もって気を付けておけば、起こりがちなトラブルも未然に防げます。

「前の人のビデオカメラで舞台が見えない」「三脚が邪魔」・・・撮影マナーをめぐる苦情には・・・

お遊戯会や発表会には必ず巻き起こる、この手のトラブル。
これはもう、ルールを厳格に決めるしか手がありません。
「出演クラスの保護者のみ撮影可にし、撮影ゾーンを決めて入れ替え制にする」
「園だよりなどで、場所取りや三脚を使えるエリアについて詳しく伝える」
「当日の会場に、張り紙やビニールテープなどでわかりやすく注意喚起する」
それでもマナー違反やトラブルがおさまらなければ、撮影禁止という手段も。

「DVDを販売するので保護者の撮影禁止」 に対するクレームには・・・

上記のように、保護者の撮影を禁止し、業者が制作したDVDを販売する園も増えています。
けれどこれに納得がいかない保護者からのクレームも、毎年あるようです。
まずは「撮影に夢中で拍手が少なかったり、客席の反応が鈍い」ことを説明し、頑張ってきた子どもたちの姿をしっかり見てあげてほしいとお願いしてみましょう。
また、撮影マナー違反によるトラブルの防止はもちろんのこと、フラッシュの乱発などにより、園が卒業アルバムなどのために依頼したプロカメラマンの撮影の妨害になることも、理解してもらう必要があります。
DVDは無料ではないため、全員に納得してもらうのはなかなか大変ですが、園の方針として毅然と示していけば、徐々に受け入れてもらえるはずです。

終わりに

お遊戯会のねらいは園によってさまざまですが、子どもたちが楽しみながら取り組んだ成果を通して、その成長ぶりを見せてくれる場であることは同じです。
ひとりひとりの頑張りと、みんなで力を合わせた経験は、子どもたちをまた一つ、大きくしてくれることでしょう。
いつまでも忘れられない大切な思い出に残るお遊戯会。
この日の主役である子どもたちがのびのびと楽しんで発表できるよう、保育者は精一杯サポートしてあげたいですね。


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