給与・転勤・将来性・・・公立保育園と私立保育園の違いって?


 

 

保育士としてどんな施設で働こうかと考えたとき、保育に関わる施設はいろいろあって迷うかもしれません。
認可、認証、子育て支援施設、学童、病院内保育室・・・
「やっぱりまずは認可保育園で経験を積みたい」
そう思う方も多いようですが、認可保育園にも大きく分けて二つあります。

そこで今回は、認可保育園の公立・私立について、どんな違いがあるのか、さまざまな面から見ていきたいと思います。

一番の違いは運営団体

公立園と私立園、それを分けるのは運営している団体です。
公立園は、市区町村などの地方自治体による運営となります。
対して私立園は、古くからある園は社会福祉法人が、新しい園は学校法人、NPO法人、一般企業など、いろいろな団体や、個人が経営しています。
公立園は自治体運営のため、経営が安定しているのに対し、私立園は運営する団体や個人により、経営状態がさまざまです。

それでは両社の違いについて、詳しくみていきましょう。

公立保育園の特徴

●どの園も経営方針がほぼ同じ
●保育士は公務員のため、待遇が良い
●数年で異動がある
●設備が標準的で、特色が少ない
●行事やイベントが少なめ
●長く務めるベテラン先生が多い

公立保育園は、国の定める「保育所保育方針」にのっとっているため、どの保育園も経営方針に差がありません。勤務する先生によって多少の特色が出てくる程度です。
また、先生は公務員のため、なるには自治体の公務員試験に合格しなくてはなりません。ただし待遇は地方公務員と同等で、年々昇給し、離職率も低いのが特徴です。
公立園には転勤があります。採用された自治体内での転勤で、遠方に行くことはありませんが、保育園や児童福祉施設を数年ごとに異動することになります。
園内の設備は標準的で、私立に比べ古いところが多いようです。イベントや行事も、私立よりシンプルで少なめ。
昇給・昇進や、育休などの福利厚生がきちんとしているので長く働け、経験豊富なベテラン先生が多くなります。

私立保育園の特徴

●運営母体により、経営方針に違いがある
●若い保育士中心の園が多い
●基本的に転勤はなし
●園内の設備や、園庭の遊具などが新しくて綺麗
●イベントや行事が盛ん

私立保育園の運営母体はさまざまで、園ごとに特色があります。
例えばキリスト教系で礼拝やキリスト誕生の劇をする、お寺が母体で座禅をするなど、宗教色の強い園や、英語教育を重視する園、音楽に力を入れる園など、それぞれに個性が光っています。
また私立は、公立よりは保育士の定着率が低いようです。理由は給与面、仕事の忙しさなどいろいろですが、やはり結婚や出産による離職がほとんど。育休制度がしっかりしていない園もあり、復職が難しく、現場は若い保育士が多くなる傾向にあります。
転勤は、系列園や分園がなければ、ありません。
園の設備はユニークなものも多く、新しく綺麗な状態を保っている園がほとんど。イベントや行事も特徴のあるものを企画し、頻繁に、華やかに行われているようです。

公立と私立の給与格差は約200万円!

ここまでざっと両者の違いをリストアップしてきましたが、やはり働くうえで何より気になるのは、収入面ですよね。
実は、全国の保育士平均年収が316万円であるのに対し、公立保育所の保育士の平均年収は537万円と、200万円以上の開きが出ています。月給にすると、毎月12万円の差。
どうしてこれほどの違いがあるのでしょうか。
それは、育休制度がしっかりしているかどうかが大きいといえます。

公立保育士は地方公務員なので、新卒から育休を経て復職と、キャリアを積んでいき、その間もずっと給与は上がり続けます。それに対し、経験年数で給与額が決まる私立は、ブランク期間のぶん経験年数も短くなり、給与も同年齢の公立保育士より低くなります。
そのため復職する保育士も少なく、私立の保育士の平均年齢は公立より10歳近くも若くなることに。結果、平均給与に大きな開きがでるというわけです。

今後、公立保育所はなくなる?

現在、国が保育所の民営化をすすめており、ほとんどの自治体が将来的にはすべての保育所を民営化することを目指しています。
したがって、いま公立保育所で働く方は、今後、自分が雇用された自治体に公立の保育所がなくなる可能性があり、そうなると私立保育園に就職する必要も出てきます。
「待遇の劣る私立保育園でやっていかれるだろうか」
そう危惧する公立保育所の保育士もいると思いますが、いま、保育士の処遇改善は国をあげて取り組むべき最重要課題となっています。
保育士の離職の理由トップの「低賃金」を改善するため、事業者による独自の給与アップや、福利厚生の充実化などが行われ、中には復職率9割以上という私立保育所も登場するなど、その効果も見え始めてきました。
これらの努力が実を結び、今後、私立園でも長く勤める保育士が増え、平均給与も他業種なみに上がってくることを期待したいと思います。


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