慣らし保育のメリットと、心がけたい6つのポイント


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春はスタートの季節。
進学、進級、就職と、世の中も出発ムードに満ちていますね。
もちろん、保育園にも新しい園児たちがやってきます。
そこで通常、行われるのが「慣らし保育」。
初めて親の元を離れる子どもたちのために、そして初めて子どもを預ける親のために、少しずつ、保育士や園での生活に慣れていってもらう期間です。
今回は、この慣らし保育について、そのメリットや、心がけたいポイントを知り、4月からの新しい出会いに備えておきましょう。

慣らし保育とは

「子どもは保育園に慣れてくれるかな」
「保育士さんやほかの子とうまくやっていけるかな」
慣らし保育は、読んで字のごとく、不安でいっぱいの親と、その気配を感じて警戒する子どもに、保育園という新しい環境に慣れていってもらうためのものです。
一般的なスケジュールとしては、最初の一日は親と一緒に1~2時間ほど過ごし、次の日からは子どもだけを預かって、一日ごとに時間を延ばしていきます。通常、1週間から2週間ほどで完了しますが、子どもの様子や家庭の事情などにより、期間はさまざまのようです。
何もかもが初めてで緊張し、心身ともにデリケートになっている子どもに対して、特にきめ細かい目配りと、安心させる対応が必要になります。

慣らし保育のメリット

この慣らし保育を行うことは、子どもだけでなく、親にも、そして保育士にもメリットがあります。

●保育園は楽しいところ、というイメージを持たせる

いきなり朝から知らないところで、知らない人と一日過ごす、それはほとんどの子どもにとって大きなストレス。お迎えだけをひたすら待つ「嫌な場所」という印象がつくと、あとが大変です。
慣らし期間があれば、最初は親と一緒に過ごし、その後も少し遊べば家に帰れて、「保育園は楽しい場所」というイメージを持ちやすくなります。

●新しい生活リズムにスムーズに入っていける

毎朝登園し、保育園での昼食、お昼寝、おやつ、そして帰宅。園児の一日は、これまでとはまったく違った生活リズムになります。朝から出かけたり、慣れない場所での食事やお昼寝に、心も体も抵抗なく入っていくためには、徐々に進めていくのがベスト。

●泣く子も泣かない子も、慣らし期間は大切

親と別れるときに大泣きする子、まったく泣かずにすぐに遊び始める子。
実は泣く子だけでなく、平気な子にも慣らしは大切です。というのも、はじめは園に興味深々で夢中になっていても、珍しさが抜けると急に不安定になり、五月の連休明けごろに大泣きの登園が始まることが少なくないからです。
慣らし期間で、段階的に親と離れる経験をすることで、しっかり園生活にシフトできます。

●親の不安も慣らし保育で解消

実は子どもを初めて預ける親のほうも、心の中は不安でいっぱい。そんな気配を察すると、子どもも警戒心を募らせ登園を嫌がり、親がイライラ・・・の悪循環に。
慣らし期間は、短時間のうえ、より丁寧な目配りをしてもらえ、保育園初心者の親も抵抗なく預けられます。親の気持ちが安定していると、子どもも生き生きと活発になり、新しい環境にも慣れやすくなるもの。

●園のカラーや方針を知ってもらう

保護者は、子どもを預ける園がどんなところか、保育士さんはどんな人たちか、知りたがっています。慣らし期間に園や保育士と密に接して、雰囲気や方針、保育士たちの人柄を知り、理解してもらうことで、その後のやりとりがスムーズになり、保育もやりやすくなります。

心がけたい慣らし保育のポイント

以上のようにメリットの多い慣らし保育。それでは実際に慣らし期間を過ごすときの、大切なポイントをあげてみましょう。

①子どもの目線に合わせて

知らない大人が上から目線では、子どもは萎縮するばかり。そばにいるときはとくに目線の高さを合わせるように意識しましょう。朝は「おはよう! 今日も元気ね」と片膝をついて抱きとめてあげると、安心感を与えます。

②子どもの気持ちをしっかり受け止める

楽しいときには一緒に大笑いしてくれる、不安なときは慰めたり力づけてくれる、悔しいときは「悔しいね」と共感してくれる・・・そんな保育士の周りには、自然と子どもたちが集まってきます。気持ちをまるごと受け止める大らかで温かい雰囲気は、子どもの心を開く大切な要素。

③ほめる

「がんばったね」「えらかったね」「すごい」「素敵」・・・子どもはほめられることで「この人は自分を認めてくれている」と感じ、警戒心を解きます。とくに慣らし期間は、ふだんは当たり前のことでも難しくなりがち。子どもの様子をしっかり観察し、ちょっとしたことでも喜び、ほめてあげましょう。

④スキンシップはとても大切

子どもとの心の距離をぐっと縮めるのがスキンシップ。がんばったときにはハイタッチ、失敗したときには肩を抱く、なかなかうまくいかないときはそっと手を添えるなど、触れ合うことで気持ちが伝わり、子どもからの信頼も強くなります。

⑤子どもと一緒に大いに遊ぶ

園内の様子がよくわからず戸惑っている子どもを一人にしないで、できるだけ一緒に遊びましょう。天気のいい日は園庭で。室内では固くなっていた子どもも、外に出ると生き生きと動き始めるもの。子どもの心の壁を取り払うには、一緒に楽しむのが一番です。

⑥保護者とのコミュニケーションをしっかり

初登園の前に、保護者から子どもについての情報を仕入れておきましょう。好きな遊び、歌、テレビ番組、食べ物の好みや眠るときの癖など、知っていると保育がスムーズに。
逆に、園での様子はノートなどでできるだけきめ細かく、保護者に報告すること。きちんと見てくれている、という信頼感につながり、安心してまかせてくれるようになります。

終わりに

生まれてからずっと親と過ごしてきた子どもにとって、保育園は未知の世界。
足を踏み入れるだけでも相当な勇気をふりしぼっているはずです。
そしてこの壁を乗り越えられるかどうかは、子どもの気持ちを理解し受け止めていく、保育士のあたたかいフォローにかかっているのです。
「保育園の先生はいつも味方」―― 1日も早くそんな安心を与えてあげられるよう、子どもたちと真剣に、そして楽しく向き合っていきたいですね。


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