ただいま急増中! 放課後等デイサービスとは?


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平成24年の創設以来、利用者が急増し、注目を集めている「放課後等デイサービス」。
まだ新しいシステムなので、聞き慣れない方もいるかもしれませんね。
「デイサービスといえば、老人福祉施設。でも放課後って・・・?」
その通り、放課後等デイサービスは、福祉サービスのひとつ。けれど、高齢者ではなく、障害のある子どもたちを支援するために創設されたものなのです。
今回は、いま急増しているこのサービスの特徴や内容、提供する施設で働くために必要な資格など、詳しくお伝えしていきたいと思います。

障害のある子どもたちのための学童保育

障害のある子どもたちの放課後は、通える施設も少なく、学童保育にもなじめなかったりと、居場所や過ごし方に悩むケースが少なくありませんでした。
そこで新たに創設されたのがこの「放課後等デイサービス」です。
障害のある(療育が必要とされる)学齢期の子どもたちを支援するこのサービスは、「障害児のための学童保育」と言いかえてもよいでしょう。
放課後だけでなく、土日や長期休暇中にも利用できる「療育の場」として、集団生活になじむための訓練や、日常生活の指導を行うとともに、レスパイトケア(一時的にケアを引き受けて家族の負担を軽くする支援サービス)も、その大切な役割。
対象となるのは、小・中・高校に就学する障害のある児童。ただし必要に応じて、満20歳に達するまでは利用可能となっています。

以前は未就学児と就学児が一緒に通い、障害の種類によってサービスも分かれていましたが、法改正により未就学児のための「児童発達支援」と就学児童のための「放課後等デイサービス」が創設され、障害の種類に関わらず同じサービスを受けられるようになりました。
サービスが始まった当初は5万人ほどだった利用者も、翌年には7万人近くに増加。高まるニーズにこたえ、民間の参入も活発化し、学習塾タイプや、音楽教育に力を入れる施設など、さまざまな事業所が登場しています。

放課後等デイサービスの一日は?

それでは放課後等デイサービスではどんな活動をしているのでしょうか。一般的なスケジュールを見てみましょう。

平日の放課後のスケジュール例

≪14時~(下校後)≫

→学校から放課後等デイサービスの事業所まで、スタッフが子どもたちを送迎

≪15時~≫

→到着後、おやつを食べて一休み
→看護師による健康チェック
→個別プログラム

  • ・機能訓練(トイレトレーニング、着替え、食事など)
  • ・創作活動(工作、デッサン、料理など)
  • ・学習(宿題のサポートなど)

≪16時~≫

→集団プログラム

  • ・集団遊び(だるまさんがころんだなどの昔遊び、トランプ、ドミノなど)
  • ・ダンス、リズム体操
  • ・外出(公園での外遊び、遠足など)

※ほかに季節ごとの行事、イベントも実施

≪17時半~≫

→プログラム終了・片づけ
→スタッフが自宅まで送迎

おおむね、以上のような流れで、半日を過ごします。
障害のある子どもたちを預かる、送迎がある、中・高生が利用できるといった点が、通常の学童保育との大きな違いといえるでしょう。

放課後等デイサービスの職種と資格

それでは、この放課後等デイサービスではどのような人が働いているのでしょうか。
次は、職種と必要な資格について説明していきます。

※主な対象の資格
保育士、介護職員初任者研修以上の資格、社会福祉士、児童指導員任用資格、他


※主な対象施設

保育士、介護職員初任者研修以上の資格、社会福祉士、児童指導員任用資格、他

●管理者●

事業所の運営、スタッフの管理、外部からの問い合わせや苦情などを統括する最高責任者です。
資格はとくに問われません。

●児童発達支援管理責任者●

子どもたちの心身の状況を把握し、療養を主導します。また家族の相談に応じ、適切なアドバイスを行います。スタッフの技術管理も行う、現場監督的なポジション。
以下に挙げる業務範囲に応じた資格や実務経験を満たしたうえで、「児童発達支援管理責任者研修」の受講が必須になります。

①相談支援業務経験から要件を満たす場合

介護福祉関係の有資格者※が、対象の施設※で直接支援業務(心身障害者の入浴・排せつ・食事などの介護および、本人や介護者に対し介護に関する指導を行う)を5年以上

②直接支援業務経験から要件を満たす場合

介護福祉関係の有資格者※が、対象の施設※で直接支援業務(心身障害者の入浴・排せつ・食事などの介護および、本人や介護者に対し介護に関する指導を行う)を5年以上


※主な対象支援事業

身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業、障害児相談支援事業、他

※主な対象施設
児童相談所、福祉事務所、障害児入所施設、市町村役場、保健所、老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センター、障害者職業センター、盲学校、聾学校、他

③国家資格保有のうえ、従事した経験で要件を満たす場合

対象の国家資格※による業務に5年以上従事、または①か②について3年以上の実務経験

※主な対象の国家資格
医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護福祉士、按摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、栄養士、他

●指導員●

現場で、実際の子どもたちの療育を実施するスタッフです。療育プランの作成にも関わります。
資格は不要ですが、保育士や社会福祉士、介護福祉士などの資格があると役に立つでしょう。

●機能訓練担当職員●

日常生活を送るうえで必要な動作などの機能訓練を行います。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員のいずれかの資格が必要です。

●看護師●

子どもたちの健康管理全般を担当します。
看護師・准看護師の資格が必要です。

放課後等デイサービスの職種と資格

ここまで見てきて、放課後等デイサービスとは保育側と福祉側の両方からアプローチできる世界だということが見えてきたのではないでしょうか。
他者との関わり方や集団生活の暗黙のルールを教え、社会性を育む保育の世界、そこに福祉的な障害に対するケアの知識が加われば、その療育効果は倍増し、利用者のニーズにもしっかり応えることができるはずです。
保育士としての視点を基本に、福祉の視野もとりいれながら、子どもたちひとりひとりに合ったケアを可能にしていく放課後等デイサービス。
今後のさらなる進化に注目していきたいですね。


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