【異年齢保育】・・年長さんに年少さんのお世話を頼むときは?
- 2015-12-2
- 保育士のお悩み解決
近年の少子化によって、子どもたちが大勢で一緒に遊ぶ姿はなかなか見られなくなっています。
とくに都会を中心に、兄弟の数が減ったり一人っ子が増え、異なる年齢の子と関わる機会はますます減っているのが現状。
そこで今、保育園や幼稚園で積極的な取り組みがされているのが「異年齢保育」です。
同年齢の子とだけ遊んでいる子どもに比べ、年上・年下の子と関わった子どもは成長のチャンスが多いといわれ、これからの保育の形として注目の的に。
今回はこの「異年齢保育」と、そのメリット・デメリットや保育の注意点について、お伝えしていきましょう。
異年齢保育とは?
保育園や幼稚園では、基本的に年齢によってクラスを分けていますが、この形を変え、年齢の異なる子ども同士で活動グループを編成し、保育を行うものです。
ふだんは同年齢クラスを基本とし、異年齢交流の時間を設けている園や、ほとんどの時間を異年齢保育で行う園など、その採り入れ方はさまざま。
異年齢保育のメリット
異年齢の交流には、同年齢だけでは経験できないメリットがたくさんあります。
- ●年上の子どもから優しくされ、先生の指導より楽しい
- ●年上から年下へと遊びの伝播がおこなわれる
- ●能力や考えの違う相手を受け入れる気持ちが育つ
- ●「自分もああなりたい」「できるようになりたい」と憧れや目標、チャレンジ精神が生まれる
- ●一般社会と同じ、いろいろな年齢の人の中で生活する経験ができる
- ●年上からしてもらうことで、自分も年下の子との関わりが上手になる
- ●問題を解決する力が身につく
- ●早生まれなど、同年齢でも差があった成長の違いが気にならなくなる
異年齢交流の中で、子どもたちはお互いから学びます。
年上の子は年下の子と接して、お世話をしたり教えたりすることで自信をもつと同時に、譲ることや我慢を覚えていくもの。また年下の子どもは、年上の子どもを見て学び、憧れ、挑戦する気持ちを育てるのです。
実際に子どもたちを見ていると、年長の子の教え方は大人よりもわかりやすく、それをお手本にする年少の子も大人に教わるよりずっと習得が早いのがわかります。
また、異年齢で交わることで、遊びが豊かになるのも大きなメリット。
たとえばおままごとなどでも、自然に年長の子がお母さん、年中の子がお姉さん、年少の子が赤ちゃんと役割分担し、生活のシーンをよりリアルに再現して遊べるように。そんなおままごと遊びは、生活習慣を身につけたり、家族への思いやりを学んだりすることに繋がっていきます。
以上のように、年上・年下どちらの子どもにとっても利点の多い異年齢保育。
次は、そのデメリットや注意すべき点をあげてみましょう。
異年齢保育のデメリット
- ●年上とはいえ、幼児なので、お世話には危険を伴う場合もある
- ●年少に合わせた保育内容になりがちで、年長の子どもには物足りないときもある
- ●放っておくと、年長の子だけで遊んでしまう
- ●保育士の関わり方がキーポイントなので、能力が必要となり負担が大きい
年上とはいえ、その差は1~2歳。本人はやる気いっぱいで自信があっても、いつもより危険が伴うことを、保育士は肝に銘じておく必要があります。
また、放っておくとどうしても同じことに興味のある同年齢で固まってしまったり、いつの間にか年長の子どもの遊び場になってしまうことも。
安全に目を配り、異年齢の子ども同士が関わりを楽しめるよう、保育士の上手な働きかけが不可欠になります。
保育士はこんなことに注意して
年長児は、年下の子どものお世話をしたい、何かしてあげたいという気持ちを持っているもの。けれど、だからといって面倒を任せきりにしたり、無理に年下に合わせるような指示をすると、その気持ちもただの我慢に。
保育士は、まず年長児自身の活動が生き生きと充実したものになり、その姿が自然に年少児に伝わるよう、働きかけることが大切です。
年少の子どもを連れて年長児の遊びや活動を見に行き、「すごいね!」「上手だね」と一緒に感心してあげて、尊敬と憧れの気持ちを育てましょう。そして「かっこいいお兄ちゃん」「優しいお姉ちゃん」と慕われるようになれば、年長の子も喜んで、一緒に遊んだり自分からお世話をしたがるようになるでしょう。
一方で「自分もやってみたい」という年少児の思いも大切にし、その年齢の子どもたちなりのやり方で挑戦し、楽しめるように考えてあげることも、保育士の大切な役割です。
いかがでしたか。
最近では、保護者からの関心や期待も高まっている異年齢保育。
保育士にとって、従来とはまた違ったスキルが必要とされる、新しいステージといえるでしょう。
幼児保育のひとつの形として、経験してみるのもいいかもしれませんね。